美肌によい栄養素
初めまして。管理栄養士の三好陽子です。
今回は、美肌になる為に役に立つ栄養素と効率的な食事の摂り方についてお話しします。
まず最初に、食品に含まれる栄養素について説明させていただきます。少し、難しい言葉も出てきますが、お付き合いください。
★栄養素ってどんなもの?
皆さんの体は食べ物でできていることはご存知ですね。では、食べ物に含まれる栄養素は、私たちの体でどんな働きをしているのでしょうか?
糖質
穀類やいも類、果物、砂糖などに多く含まれ、主に体のエネルギー源になります。
脳はエネルギー源として糖質(ブドウ糖)のみを使っていることは、よく知られていますね。
また、糖質の一種である炭水化物には水溶性食物繊維が含まれており、肌荒れの原因の一つと言われている便秘の解消に効果が期待できます。
しかし、過剰に摂取すると、処理しきれない糖分が血液中に浮遊してしまい、血糖値が高くなります。
血糖値が高くなると、体の中では糖化(コゲ)と呼ばれる老化現象が起こり始め、ハリがなくなりシワ、たるみ、そしてくすみが気になることもあります。注意が必要ですね。
タンパク質
魚介類や肉類、大豆、卵、乳製品などに多く含まれ、体を作っている栄養素といえます。
髪も爪も皮膚もタンパク質からできています。コラーゲンもタンパク質の一種ですね。
しかし、それだけではありません。体の働きを整えるホルモンや酵素、ウィルスなどから守る免疫物質、抗体なども、タンパク質から作られます。
こめかみ、ほお骨の下、フェイスライン、あごに出るニキビはホルモンバランスの崩れが原因と言われますので、ダイエットなどで極端に減らすことのないよう気を付けましょう。
脂質
肉類や油脂類、魚介類、乳製品に多く含まれ、エネルギー源の他、ホルモンの原料や細胞膜の構成成分など
多くの働きがあります。
脂質には、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸の二種類があります。
飽和脂肪酸は、常温では固体であるものが多く、主に肉類や油脂類(動物性)、乳製品に多く含まれます。
不飽和脂肪酸は、常温では液体であり、主に油脂類(植物性)、魚油などに含まれます。
飽和脂肪酸が多い動物性脂肪は、肌荒れや乾燥、アトピー肌の原因になるとも言われます。
しかし、飽和脂肪酸は体のエネルギー源として優れていますので、バランスに気を付けて摂取しましょう。
よいとされているバランスは、飽和脂肪酸:不飽和脂肪酸の比は、1:1~1:2です。
ビタミン
多くの食品に含まれており、体の機能を正常に維持する働きの栄養素です。
体内ではほとんど合成されない為、食品からの摂取が不可欠です。
ビタミンには、脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンの二種類があります。
脂溶性ビタミンとは、水に溶けにくくアルコールや油脂に溶けやすい性質を持ち、ビタミンA、ビタミンD、
ビタミンE、ビタミンKがあります。
水溶性ビタミンとは、水に溶けやすい性質を持ち、ビタミンB群(ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)、ビタミンCがあります。
ここで知っておいてほしいことは、ビタミンには抗酸化作用のあるものが多数あります。
文字通り、酸化(サビ)を防ぐ作用です。
肌の酸化が進んでくると、酸化原因である活性酵素を消去させる為、メラニンが増えてきます。
すると、シミが増えてきてしまい、肌の老化を早めてしまう可能性がありますので注意しましょう。
ミネラル
多くの食品に含まれており、体の機能を正常に維持する働きの栄養素です。
ビタミンと同様、体内ではほとんど合成されない為、食品からの摂取が不可欠です。
ミネラルは、多量ミネラルと微量ミネラルに分類されます。
多量ミネラルには、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、微量ミネラルには、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデンがあります。
少し説明すると、ナトリウム、カリウムは体内の水分を調節する働きがあり、カルシウム、マグネシウムは骨を元気にし、更にイライラを抑える効果も期待できます。
以上が、栄養素の働きです。
少し難しい言葉も出てきてしまい、読みにくい部分もあったと思いますが、栄養素たちが体内で頑張っていることを知ってもらえれば幸いです。
では、次に効率よく食生活に摂り入れる方法をお話ししましょう。
★毎日の食生活に摂り入れる方法、注意点
糖質
糖質は摂りすぎると体の老化を引き起こします。(生活習慣病など)
しかし、極端に少なすぎると、ぼーっとしたり、体の筋肉が減ってきたりします。
また、糖質と脂質を一緒に摂ると、吸収しやすくなるので、プラス繊維(食物繊維)を心がけましょう。
また、糖質をエネルギー源に変える為に、ビタミンB1、B2を一緒に摂ることをお勧めします。
ビタミンB1、B2は、豚肉、うなぎやぶり、大豆製品に多く含まれていますので、併せて摂りたいですね。
タンパク質
タンパク質を語る上で大切なのは、アミノ酸スコアというものです。
これは、どれだけ良質タンパク質(必須アミノ酸)を含んでいるかという指標です。
肉類、魚類、卵、乳製品は、アミノ酸スコアが100のものが多く、優れたタンパク源といえます。
また、タンパク質の代謝には、ビタミンB6が必要です。
魚介類やレバー、ささみ、バナナなどに多く含まれますので、一緒に摂るといいですね。
脂質
肉類や油脂類、魚介類、乳製品に含まれる為、一般的な食生活では少なくなることはあまりないでしょう。
極端に食事量が少ない人や、偏った食生活を送っている人には稀にあるかもしれません。
脂質で気を付けたことは、バランスよく摂ることです。
前述してある通り、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸のバランスは体の働きを万全にする上で大切です。
ついつい多く摂ってしまう人は、吸収を抑えてくれる食物繊維を積極的に一緒に摂りましょう。
中には、飽和脂肪酸(悪玉コレステロール)がよくないので、一切摂らず、不飽和脂肪酸(善玉コレステロール)のみを摂る人がいます。
あまり知られてないかもしれませんが、体全体に栄養を運ぶ働きは悪玉コレステロールがしています。
その悪玉コレステロールがないと、体の末端まで栄養を運んでくれる役割が不足してしまいますね。
バランスよく摂ることが大切なことをお話しした上で、効果的に不飽和脂肪酸を摂る方法をお話ししますね。
料理などを作る時に参考にしてください。
種類別の使用方法
種 類 | 名 称 | 性 質 | |
一価不飽和脂肪酸 | オリーブ油、サフラワー油(高オレイン酸) | 加熱に強い | |
多価不飽和脂肪酸 | n-6系脂肪酸 | ゴマ油、サフラワー油(高リノール酸) | 加熱に強い |
n-3系脂肪酸 | 魚油、亜麻仁油、エゴマ油 | 加熱に弱い |
ビタミン
脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンがあることは、前述の通りです。
脂溶性ビタミンを効率よく摂るには、油で炒めたり、油をかけたりして、油を一緒に使うことが望ましいでしょう。
但し、この脂溶性ビタミンは摂りすぎてしまうと、健康を害してしまうことがありますので、適量を守るように
してください。
水溶性ビタミンは、水に溶けやすい性質がある為、茹でるとその茹で汁に溶け出てしまいます。
効率よく摂るには、その茹で汁も一緒に食べるといいですね。
ちなみにいも類は、いもに含まれるでんぷんがビタミンCを守っており、果物や野菜に比べて溶け出る量は少ないと言われています。
また、水溶性ビタミンは摂りすぎても尿として排泄される為、たくさん摂りすぎても健康を害することは少ないといえます。
ミネラル
摂りすぎても尿として排泄される為、たくさん摂りすぎても健康を害することは少ないでしょう。
但し、長期にたくさん摂りすぎてしまった場合、過剰症があらわれることがありますので注意してください。
摂り入れる為のポイント
種類 | 主な食品 | 摂取ポイント |
ナトリウム | 食塩、醤油、味噌 加工食品 | できるだけ減塩を心がける。 カリウムはナトリウムの再吸収を抑える働きがある為、外食が多い人は積極的に摂取する方がよい。 |
カリウム | 野菜、果物、いも類 | 水に溶けやすいので、生のまま、または煮汁ごと食べる。 |
カルシウム | 乳製品、納豆、小松菜 | 乳製品からは吸収しやすい為、効率が良い。 ビタミンDや日光は吸収を促してくれる為有効である。 |
マグネシウム | 豆類、種実類、海藻 | マグネシウムとカルシウムを1:2の割合で併せて摂ると効果的である。 |
リン | 肉、卵黄、乳製品、大豆製品 加工食品 | リンを多く摂りすぎるとカルシウムが放出されてしまう。カルシウムとリンは、1:1~1:2の割合で摂るとよい。 |
鉄 | レバー、かつお | タンパク質やビタミンCと一緒に摂ると吸収率があがる。 |
亜鉛 | 牡蠣、牛肉、レバー | 動物性たんぱく質と摂ると吸収がよくなる。 穀類や豆類に含まれるフィチン酸や食物繊維と結びつくと吸収しづらくなる。 |
銅 | レバー、種実類 | 多くの食品に含まれており、バランスよく食べることを心がける。 |
マンガン | 玄米、くるみ、厚揚げ | 多くの食品に含まれており、バランスよく食べることを心がける。 |
ヨウ素 | 海藻、いわし、さば | 海産物に多く含まれる。 |
セレン | 魚介類、ねぎ、そば | 多くの食品に含まれており、バランスよく食べることを心がける。 |
クロム | 魚介類、海藻 | シュウ酸などアクの成分と一緒に摂ると吸収が阻害されるので注意する。 |
モリブデン | レバー、豆類、種実類 | 多くの食品に含まれており、バランスよく食べることを心がける。 |
まとめ
美肌というのは、外からの刺激も関係しますが、体の内面から生まれてくる細胞が元気であることが大切です。
しかし、これだけの内容を頭に入れて生活することは至難の業ですよね。
なんとなく、自分の食生活を振り返ってみて、気になるところだけを変えてみてはいかがでしょうか?
参考文献
健康管理士一般指導員テキスト『4生活を守る栄養学』
日本医恊学院 発行、日本成人病予防協会 監修
専門家によるサポート
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