妊活と妊娠期における食生活について

執筆者:浦西 小百合
結婚をしたら、授かるために妊活している方が大勢いらっしゃいます。妊活を経て妊娠したら「ゴール」ではなく、元気に出産することが大切ではないでしょうか。

妊活と妊娠期における、必要な栄養素と、その役割、食材紹介、また活用方法を妊活、妊娠を経験した管理栄養士がお伝えします。

妊活における食生活

妊娠しやすい体になるためには、赤ちゃんの元になる精子や卵子が元気であることが大前提です。赤ちゃんをいつ迎えても良いように、今から体を整えておくことは大切です。

飲酒や喫煙、ストレスなどの食習慣や生活習慣により発生する活性酸素が、老化や生活習慣を引き起こすとされています。この活性酸素が精子や卵子の質を低下させ、妊娠しづらい状態にしています。

そのため、活性酸素の害から体を守るために、活性酸素の働きを抑える「抗酸化食材」を取り入れていきます。また、細胞に栄養素や酸素をスムーズに届ける働きをするDHAやEPAを摂り、血液をサラサラにしていきましょう。

抗酸化食材をとろう【ビタミンA・ビタミンC・ビタミンE】
緑黄色野菜(かぼちゃ・にんじん・トマト・赤アプリカ・ブロッコリー等)・果物・ナッツに多く含まれています。野菜を蒸して、温野菜で食べたり、具だくさんスープをたくさん作って、冷凍ストックしておくと便利です。
細胞に栄養素や酵素を届ける

最近注目を集めているDHAとEPAですが、青魚といったさばやさんま、いわし、あじ等に多く含まれています。お刺身や煮つけ、塩焼きにしても良いですね。青魚を食べない時は、亜麻仁油やえごま油を使うこともおススメです。加熱してしまうと、栄養素が壊れてしまうので、加熱せずサラダにかけたり、食べる直前の汁物にかけるのが良いです。

妊娠前に肥満、痩せすぎは胎児の発育に影響を与えます。妊娠前から適正な体重を目指すよう心掛けていきましょう。

妊活初期における食生活

妊娠初期は「赤ちゃんのため」と、しっかりした母体作りを基本に、量をたくさん食べるのでなく、食品添加物や清涼飲料水を控える等して、質を高めます。「赤ちゃんの分まで食べなくては」と思い込み、もりもり食べる習慣になると、妊娠中毒症や肥満、浮腫の原因になり、出産後まで影響を及ぼします。

悪阻(つわり)は個人差が大きく、一般的に食欲の低下、嗜好の変化、嘔吐などの症状があります。このような時は、無理をせず食べたいものを食べたい時に食べるようにします。

特に妊娠前、妊娠初期に葉酸摂取の不足で赤ちゃんに二分脊椎など、神経管閉鎖障害の発症リスクが高まると言われています。そのため、赤ちゃんが健やかに成長していくために葉酸が必要なのです。葉酸が多く含まれている食材に、枝豆・モロヘイヤ・アスパラガス・干しシイタケ・納豆・いちご・焼きのり等があります。

ここで、簡単にできる葉酸を意識したレシピをご紹介します。
モロヘイヤのネバネバ和え

(作りやすい分量)

モロヘイヤ:1袋、塩:小さじ1/3、 しょうゆ:大さじ2~、 ごま:好みの量、かつお節:好みの量

作り方

①モロヘイヤを洗う

②鍋にモロヘイヤと塩、水30ccを入れ、弱火にかけて火が通ったらザルに上げる

③水気を絞ったら、細かく包丁で叩く

④しょうゆは味を見ながら入れ、かつお節やごまも混ぜる

⑤お皿に盛り付け、好みで焼きのりを振りかけても美味しい

妊活後における食生活

妊娠後期になると、胎児が成長するにつれ、胃腸が圧迫され、一度にたくさん食べることが難しくなります。食事は3食にこだわらず、1日5回食や6回食と考え、間食も含め、料理しやすく、食べやすいメニューにしましょう。


また食べられないからと悪阻(つわり)の時のように、好きなものだけ食べると胎児に影響も出ますし、母体も、貧血や妊娠中毒症、分娩時の体力不足等を招くので注意が必要です。腸の働きも悪くなり、便秘になりがちな時期でもあります。


妊娠中は無月経になりますが、母体の造血亢進、胎児の発育、胎盤の形成、分娩時の出血に備えて、鉄の需要は一段と高まります。そのために貧血にならない様、鉄をしっかりと食事から補給しておく必要があります。赤身の肉や魚、レバー、小松菜、ほうれん草、ひじき等に多く鉄が含まれています。


またママと赤ちゃんの体の元になるたんぱく質は、筋肉、爪、髪の毛、血液、皮膚といった体の一部になる大切な栄養素です。もちろん、赤ちゃんの体の元にもなるので、妊活中、妊娠中としっかり摂っていただきたい栄養素の代表です。

たんぱく質を摂り、自分の血液や筋肉を充実させましょう。たんぱく質が多く含まれている食材には、肉・魚・卵・乳製品・大豆・大豆製品があります。


ここで、鮭ときのこをホイル焼きにした魚レシピをご紹介します。

鮭のさっぱりホイル焼き
(材料2人分)
 生鮭:2切れ(160g)、しめじ:1/2パック、さやいんげん:8本、玉ねぎ(薄切り):1/4個、レモンの輪切り:2枚、酒:小さじ1、しょうゆ:小さじ1、塩・こしょう:各適量
作り方

① 鮭は両面に塩、こしょうを振る。しめじは根元を落としてほぐす。いんげんはヘタを切り落とす。

② アルミホイルを2枚用意し、それぞれに玉ねぎを敷き、鮭といんげんをのせ、その上にしめじをのせる。塩、こしょうを軽く振り、酒を振ってしっかり包む。

③ フライパンに②を入れ、ホイルの1/3くらいに高さまで水を入れる。中火にかけ、ふたをして15分蒸し焼きにし、器にのせる。ホイルをあけてレモンをのせ、しょうゆをかける。

ポイント
フライパンでなく、トースターで焼いてもオッケー!鮭の赤い色素のアスタキサンチンには抗酸化作用があり、老化を抑制してくれる働きがあります。食物繊維が豊富なのしめじは、便秘解消に効果的です。レモンだけでなく、スダチやゆずなどの柑橘系でも代用できます。

鉄はたんぱく質やビタミンCと一緒と一緒に摂取すると、吸収率が高まります。

例えば朝食の1品に、【鉄+たんぱく質】ゆでたほうれん草と納豆を和えたり、【ビタミンC】ミネラルウォーターにスライスしたレモンを入れたレモン水を、食事の時に飲むといった工夫もできます。
最後のまとめ
妊娠期あるいは、産後の育児などの時期を健康で過ごすためには、妊活から偏食を避け、一日三食しっかり食べてバランスを意識した食事が不可欠です。どのライフステージに立っても、「食」は健康で過ごすために必要であり、「命を繋ぐ」手段でもあります。この記事があなたの食に貢献できたら、幸いです。
参考文献
厚生労働省 食事バランスガイド
https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/dl/h0201-3b02.pdf

厚生労働省 食生活指針
https://www.nibiohn.go.jp/eiken/ninsanpu/

厚生労働省 妊娠中と産後の食事について  
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/boshi-hoken/ninpu-02.html

厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-009.html

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