筋肉疲労と、タンパク質、マグネシウムについて

執筆者:西尾 華

筋肉疲労とは

私達は立ったり、座ったりしているだけでも「抗重力筋」という地球の重力に対して姿勢を保つための筋肉が常に働いています。下腿、大腿、腹部、胸部、首の各部前後に張り巡らされた筋肉は伸び縮みをしながらバランスを保っているので最も疲労しやすいといえます。

それらの筋肉の収縮に必要なエネルギーが足りなくなった時に疲労を感じるので、同じ姿勢を続け、一部の筋肉の緊張が大きく負担となることや、アスリートのように激しく長時間にわたり筋肉の伸縮をするとエネルギーの消費が増し、筋肉疲労に繋がります。

エネルギーの枯渇を防ぐためには筋肉量を増やし、出来るだけ多くのエネルギーを身体に貯蓄することが必要です。そのためには適切なレジスタンストレーニングと栄養摂取が大切になります。

体たんぱく質合成(筋肉量増加も含む)の栄養摂取について

筋肉の重量の約20%を占めるたんぱく質は運動能力に大きく関係してくるので、スポーツ関係者にはとても興味深い栄養素だと思います。たんぱく質は身体の成分の役割だけではなく運動強度が高くなるとエネルギーとしても利用され、またどちらにも利用されない場合は脂肪に変換されることもあります。

適切な必要量は年齢、性別、運動強度により変わってくるので、特に中強度の運動をしていない場合は1日の摂取量を体重1㎏あたり1gとすると計算しやすいと思います。

では運動強度の高いアスリートの必要摂取量はどのくらいかというと研究結果により2g/㎏/日、例えば70㎏の選手だと140g以上摂取しても体たんぱく質の合成は高まることがないとのことなので1.2~2g/㎏/日の範囲の摂取が望ましいといえます。

またレジスタンストレーニング後などの1回量は国際オリンピック委員会の声明でも20g程度の良質なたんぱく質を含む食品や飲料を運動後、速やかに摂取することにより体たんぱく質の合成は最大になると考えられています。

良質なたんぱく質とはアミノ酸スコアが100に近いほど体たんぱく質合成に必要な「必須アミノ酸」が含まれている指数で、動物性食品では魚肉類・卵・牛乳、植物性食品では大豆が100になります。

また、たんぱく質20gはどのくらい?というと、魚で約100g(大きな切り身1枚)お肉の脂身の少ない部位、約100g、卵Lサイズ、約3個で20gのたんぱく質が含まれています。

私達人間も動物なので動物性の栄養素の吸収が早いと言われていますが、ゆっくり吸収される植物性の栄養素も組み込むことによりアミノ酸プール(貯蓄)が常に満たされていると考えることもできます。

たんぱく質以外の栄養摂取について

たんぱく質以外の栄養の摂取も体たんぱく質には大切になってきます。

いち早くエネルギーとなる糖質は運動前に摂取すると体たんぱく質の分解を防ぐ働きをし、運動後の摂取では素早いリカバリー(回復)に役立ちます。多くのエネルギーを必要とする運動時にはエネルギー代謝を促すビタミン、ミネラル類も通常より必要量が増します。

特に水溶性のビタミンB群・ナイアシン、抗酸化作用のあるビタミンA・C・E、骨代謝に関連するビタミンD・K、生体を構成するカルシウム・鉄などの不足が運動機能に影響してきます。

マグネシウムについて

マグネシウムはカルシウム・リンと共に骨の形成や体内の様々な代謝に関与する栄養素です。

主な機能として体温調整や神経情報の伝達、筋肉の収縮など運動時にも必要不可欠な働きを担っています。

日本人の食事摂取基準によると成人で300mg前後の摂取を推奨していますが、現代の食事内容では不足しやすくなっているように感じます。

マグネシウムを多く含む食品は藻類・魚介類・豆類・また精製されていない物、白米より玄米、小麦粉より全粒粉、粒の小さな精製塩より天然塩の方が多く含まれています。改めてみると和食に使われる食材はマグネシウムを十分含んでいると言えますね。筋肉疲労やけいれんがあった時はマグネシウム不足も考え、食事内容を見直すことも大切になります。

まとめ

身体を限界まで追い込むアスリートは想像以上にたくさんの栄養を身体が求めます。それらすべてを食品から摂取できればいいのですが、実際は競技種目によって最高のパフォーマンスに結び付く体系は様々です。そんな時は自分に必要な栄養素をチョイスしたサプリメントの利用が有効になってくると思います。

参考文献
厚生労働省 日本人の食事摂取基準
 

厚生労働省 e‐ヘルスネット

日本スポーツ栄養学会監修 「エッセンシャルスポーツ栄養学」

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