味覚障害について

執筆者:小倉 静香

新型コロナウイルスの初期症状の一つとして味覚障害があげられるが、コロナウイルスに罹患せずとも、最近では味覚障害を訴える人が多くなってきている。それはなぜか?

未曾有のコロナ騒動と新しい生活様式、長引く梅雨、そして猛暑。体調不良を感じている人も多いと思う。

ここでは、現役病院勤務の管理栄養士として、味覚障害と日々の食生活について思うことを記載していく。味覚障害に限らず、理想的な食生活を簡単に実践できるヒントがあるので、是非読んでみてほしい。

 

まさに今!このご時世特に陥りやすい?自律神経失調症と味覚障害

数年前の話である。いきなり友人に「私こないだ味覚障害になっちゃってさ」と言われた。当時彼女は40歳で、3人の娘を育てていた。

長女も次女も地元のミニバスケットボールクラブに所属しており、次女が小学6年生の代で、彼女はそのクラブの保護者代表だった。保護者代表としてコーチや他の保護者との連絡が、深夜早朝問わず常に入ってきて、スマホを握りしめたまま寝落ちすることも多かったようだ。

異変に気付いたのはその保護者代表が終わって3か月後。口の中が乾いている。舌の感覚も鈍くざらついている気がする。食事をしても、味はするが鈍い感じで、なんとなくしか感じない。彼女は口腔外科に罹り、診断を下された。自律神経失調症だと医師は言った。

「まずは生活改善をしなさいと言われたの。

  • スマホは22時以降見ないこととする。
  • お風呂はシャワーだけでなく湯船につかる。
  • 朝日を浴びる。

それだけでずいぶん変わったわ。あとは味覚障害には亜鉛を摂りなさいって言われた。

確かに、考えてみたらしっかりした食事って、このところ摂ってなかったのよね。いつもバタバタして、とにかく子供たちのお腹を満たすことが第一で、自分自身のことなんて二の次。子供たちが残した物を食べたり、食事自体抜かしていたり。」

長女は中学2年生、次女が小学6年生、三女が小学3年生と、まだまだ保護者として手をかけなければならない年齢の子供たちの世話をしながら、彼女自身も外で仕事をしていたりと、普段から大忙しだった。

さて、ここまで読んでドキッとする読者の方も多いと思う。今このご時世、パソコンやスマホで仕事をする人も多く、リモートワークの場合それこそ深夜早朝関係ない。在宅勤務で外に出なくても仕事ができるために太陽光にあたることもない。

一人暮らしだとわざわざ浴槽にお湯をためてゆっくりするのも水がもったいない。食事にもそこまで気を使っていない・・・というのが働き盛りの独身の大多数なのではないかと思う。今回は管理栄養士の視点から、食生活の部分で、味覚障害について考えていきたい。

 

亜鉛を多く含む食材

亜鉛欠乏による味覚障害はよく聞く話であると思う。では、亜鉛はどんな食材に多く含まれているのだろうか。文部科学省の食品成分データベースによると、亜鉛含有量トップに君臨するのは牡蠣だ。次いで赤身の牛や豚肉など、動物性食品に多く含まれる。

またワカメなどの海藻や、アーモンドやゴマなどの種実類にも多く含まれているので、少し気を付けるだけで亜鉛不足の問題は解決するだろう。簡単な方法の一つとしては間食にナッツやドライフルーツを選択することだ。酒のつまみに牡蠣の缶詰でも良いだろう。

手軽に亜鉛を摂取できる。ただしすべてに言えることだが食べすぎはもちろん禁物だ。そして牡蠣やナッツを食べているから大丈夫と考えるのも短絡的だ。なぜなら、亜鉛不足に陥るような人は全体的な栄養バランスが崩れている可能性が高いからだ。

亜鉛不足は解消してもいずれ他に支障がでてくるだろう。あるいはもうすでに味覚障害以外の症状が出ているかもしれない。では何が大切か。インスタント食品やコンビニの総菜パン、菓子類など、炭水化物が多く、単品の食事でお腹を満たしている人は特に注意してみてほしい。

 

たんぱく質を意識する

栄養指導をするたび、現代人はタンパク質の摂取量が少ないと感じる。

お昼は簡単な麺類のみ、サンドイッチや菓子パンのみ、などになっていないだろうか。インスタントラーメンには生卵を落としてみよう。素麺には納豆や冷ややっこを足してみよう。ナポリタンに入れる具材をハムではなく鶏肉や豚肉にしてみよう。

菓子パンをおにぎりにして、サラダチキンも足してみよう。完璧な自炊で最善な食生活を実践できる人はそうそういないだろう。そこまで徹底せずとも、やれることはいくらでもある。冷凍食品やインスタント食品も取り入れながら、プラス「たんぱく質は入っているか?」を意識してみてほしい。

 

まとめ

基本的に筆者はどんな疾病者に対しても同じことを言う。「バランス良く食べること」そして「魔法の食材はない」ということ。

何か一つの食材を食べ続けて、疾病が良くなることなどありえない。それは、体内に入った食物は、細かく分解されその成分同士、複雑に作用しながら人体に影響を与えているからだ。しかもその因子は食事だけでなく、睡眠などの生活習慣によっても左右される。

今回の味覚障害に関しても、亜鉛不足が原因の一つと考えられても、それがすべてとは限らない。まずは日々の生活習慣から見直そう。その一部に食がある。1日24時間は皆平等に与えられたものだ。栄養と休養のための良質な時間の確保は忙しいビジネスパーソンの中でも最重要課題であり、また次世代を担う子供たちの教育の一環としても、親たちは十分に意識して、日々の生活習慣を見つめなおしてほしいと思う。

 

参考文献

食品成分データベース 文部科学省 https://fooddb.mext.go.jp/

専門家によるサポート

弊社では管理栄養士、健康管理士、食育インストラクターなどの専門的サポートを受けており、通販カタログやLP等への商品コメントなどサポートを受けたい方は別途ご相談ください。

サポート栄養士一覧